人気ブログランキング | 話題のタグを見る

NPO会報第27号(43号)

      NPO移植への理解を求める会 会報第27号       

2018.3.28 OA
NHK総合テレビ・ドキュメンタリー「ノーナレ」(25分間番組)にて全国放送されました。
この動画は25分番組のうちダイジェスト版で約9分間です。

愛媛の移植40年を祝う

平成29年11月・宇和島 盛大に講演会と祝賀会

NPO会報第27号(43号)_e0163729_14181312.jpg












NPO会報第27号(43号)_e0163729_14205920.jpg





 

      

NPO会報第27号(43号)_e0163729_14220836.jpg




























NPO会報第27号(43号)_e0163729_14241874.jpg

昭和52年に市立宇和島病院で万波誠先生(現宇和島徳洲会病院)が愛媛初、四国でも初の腎移植を実施してから40年を迎えたのを記念して、NPO法人移植への理解を求める会と、えひめ移植者の会は昨年11月26日、JR宇和島駅ビルのホテルクレメント宇和島で記念講演会と祝賀会を開きました。

直前の10月19日には、徳洲会グループによる修復腎移植の先進医療申請が、厚労省の3度目の審査部会で条件付き承認となったことから、そのお祝いを兼ねた会となりました。

来賓の岡原文彰宇和島市市長をはじめ、移植医療に関わってこられた関係者の方々、両会の会員など約60人が参加。東京や広島、岡山など県外からも多くの方々がかけつけてくださり、盛大な記念イベントとなりました。

まず福田康彦先生(医療法人たかし会理事長、尾鍋外科病院院長=広島市)のご講演「愛媛の移植40年に思う」の後、祝賀会となり、万波先生や近藤俊文先生(市立宇和島病院名誉院長)らが愛媛を全国有数の移植先進県に育て上げ、多くの患者さんを救ってきたことに感謝と敬意を表すとともに、修復腎移植の先進医療承認を喜び合いました。

会場は終始和やかな雰囲気で、万波先生も積極的に発言され、大いに盛り上がりました。


  記念講演要旨                                   

「愛媛の移植40年に思う」

      医療法人社団たかし会尾鍋外科病院理事長・院長 福田和彦先生

 私は和田心臓移植が行われた昭和43年(1968年)に広島大学医学部を卒業いたしました。日本において臓器移植がまさに始まろうとする時期に医師となったわけです。そのころ広島の地では土肥雪彦先生(広島大学名誉教授)がアメリカ留学から帰国されて、血液透析を他の県に先駆けて土谷病院で始められていました。私は土肥先生の下で血液透析を学ぶ傍ら、腎臓移植の準備のお手伝いを始めていました。そして昭和46年(1971年)、今から47年前、広島大学第二外科で土肥先生を中心とした移植グループに加わり、第1例目の生体腎移植を行い、中四国地方初の成功例になりました。

 ▼愛媛の移植5例目までお手伝い

1977年に宇和島市民病院で万波先生は四国での第1例目の腎臓移植を実施されましたが、医学生時代から面識のあった万波先生と近藤先生(当時の宇和島市立病院副院長)から支援要請があり、5例目までの腎臓移植のお手伝いを土肥先生と一緒にさせていただきました。当時は良い免疫抑制剤が無いため、血液型、組織型がなるべく合った家族を選んでドナーになってもらうことが非常に大切でした。

私は臓器移植のための組織適合試験を研究対象にしていましたので、宇和島から送られてくる多くの血液を検査して、適切なドナー選択の結果を万波先生に報告するのが仕事でした。その後、宇和島市立病院の中で検査できる体制づくりをお手伝いして私のお役目は終わりました。

宇和島は今や腎臓移植のメッカに

 その後の万波先生と瀬戸内グループの腎臓移植への目覚ましい取り組みは、中四国臓器移植研究会などで聞き及んでいました。2015年度の愛媛県の腎移植件数は79件で、広島県の36件、岡山県と山口県の21件をはるかに凌駕する実績を上げておられます。また、2013年に万波先生は1000例の腎臓移植を達成されていますが、恐らく個人では日本で最も多くの腎臓移植を手掛けている医師と思います。

 この宇和島の地が今や腎臓移植のメッカになった感がある事実は、地方の、地域の、そして辺境の使命感に燃えた優れた医師たちの存在こそが、地域医療の根幹であることを改めて認識させられました。その地域には、医師たちを応援し、支援する市民、施設、風土が備わっていたに違いありません。少子高齢化に伴う医療の過疎化への究極の答えを宇和島の腎臓移植は暗示しているように思えてなりません。

 

 ▼大きな曲がり角、日本の臓器移植

今、日本の臓器移植は大きな曲がり角にあります。その理由の一つは他国で臓器移植を受けることが難しくなりつつあり、ドナーは自国で提供することが求められていることです。また、腎臓移植を必要とする透析患者の増加を許容できる経済状態ではなくなり、腎臓移植の増加が国家的命題になりつつあります。

2010年の臓器移植法の改正、アメリカでの小児心移植への保険適応、そして修復腎移植の先進医療としての認可など、従来では考えられない矢継ぎ早の対策を国は打ち出しています。ただ、それらは国民的議論もなく、理念を欠いた目先対応にすぎないとも感じられます。再び国は臓器移植対応を誤った方向に導くのではないかと危惧しています。

 臓器移植の分野だけでなく、もはやこの国の社会福祉、医療は国に任すのではなく、地域で考えざるを得ない時代になっています。腎臓移植もドナー腎が全国から贈られてくることは期待できず、自分たちの地域で腎提供をしていただくほか、ありません。愛媛県は生体腎移植が大半であり、今後は死後の腎提供を促進する必要があると思います。また、中国四国で広域的、かつ密な連絡網をつくりあげて互いに腎臓移植推進に協力することも大切だと思われ、微力ながら私も尽力したいと考えております。

 貴県のますますの臓器移植推進を祈念して講演を終わります。ありがとうございました。

           (この講演要旨は、福田先生にお願いし、まとめていただきました)

    ……………………………………………………………………………………………

 ふくだ・やすひこ 昭和18年10月、山口県柳井市生まれ。同43年、広島大学医学部卒業。同医学部第二外科助教授、同臨床教授などを経て、平成15年、県立広島病院副院長(救命救急センター長、腎臓総合医療センター長兼務)。同21年、JA広島総合病院院長、同24年、同名誉院長、特別顧問。同25年から医療法人たかし会理事長・尾鍋外科病院(広島市)院長。ほかに、ひろしまドナーバンク評議員。広島県で草分けとなる臓器移植に携わる傍ら、消化器外科、血管外科、透析の専門医としても数多くの手術を経験。医学博士。著書に「腎移植の知識」など。

    ……………………………………………………………………………………………

<次ページに、記念講演会の模様を報道した愛媛新聞記事(11月27日付4面>

 

NPO会報第27号(43号)_e0163729_14400168.jpg

  話   題                                                                      

NPO会報第27号(43号)_e0163729_14250718.jpg臓器移植と修復腎移植推進を訴え

2月県議会 代表質問で県議の横田弘之先生

2月27日に行われた2月定例愛媛県議会の代表質問で、県議の横田弘之先生(愛媛維新の会代表)が40年の節目を迎えた愛媛の移植医療と昨年10月、厚労省の審査部会で先進医療に認められた修復腎移植の推進を訴えました。
 横田先生はえひめ移植者の会とNPO法人移植への理解を求める会の顧問のお一人で、特にえひめの会では発足以来、30年お世話になっています。この問題を議会で取り上げていただき、心より感謝を申し上げたいと思います。

この日、先生は、安倍政権の外交姿勢や愛媛の文化・スポーツへの取り組みなど5項目を取り上げ、それらの中で3番目に、移植医療の推進の問題について質問しました。

横田 弘之先生    これに対し、理事者側(山口真司保健環境部長)から「修復腎移植の今後の先進医療の進展を注視しながら、引き続き関係団体と緊密に連携し、一人でも多くの患者が臓器移植を受けられる環境づくりに取り組んでいきたい」と前向きの答弁がありました。 

「修復腎移植推進と理解を広める活動を」

<横田先生の質問(全文)

愛媛県は全国有数の移植先進県として知られています。その背景には、献身的に移植医療に取り組み、多くの患者さんを救ってきた、宇和島徳洲会病院の万波誠医師と、万波医師を支え、長年、移植の環境づくりに奔走してきた市立宇和島病院の元院長、現在、名誉院長の近藤俊文先生の大きな功績があります。

アメリカで腎移植術を学んだ万波医師は昭和52年、市立宇和島病院で四国初の生体腎移植を手掛け、以来、現在までに千数百例の腎移植を実施してこられました。現在、宇和島徳洲会病院に勤務し、77歳になる今日も現役で、年間50例近くの腎移植を執刀しており、まさに超人的な医療活動をされています。

昨年12月には、万波医師が市立宇和島病院で第一例目の腎移植を執刀してから40年の節目を迎え、患者会の主催により、宇和島市で記念講演会と祝賀会が盛大に開かれ、万波医師や近藤名誉院長の功績をたたえました。 

ところで、12年前の平成18年には万波医師が執刀した腎移植患者が臓器売買容疑で逮捕されるという不幸な事件が起きました。その調査過程で、治療のために取り出した腎臓を修復して他の患者に移植する、いわゆる修復腎移植を進めていたことが明らかになり、日本移植学会から「ありえない医療だ」などと批判され、「事件」としてマスコミをにぎわせました。

この移植はすべて当時の厚生省に保険申請し、正当な手続きのもとに承認されてきたものでしたが、学会に追随した厚労省が翌年、この移植を禁止し、「不正請求」のかどで、万波医師の保険医取り消しと関係病院の保険診療停止の方針を打ち出しました。

ご縁があって、「移植者の会」の顧問であった私は当時、県議会議長でありましたので、厚労省に出向きました。かつて私が厚生大臣秘書官を務めていたころの古い友人たちが事務次官や局長などの要職にありましたから、面会のうえ、経過を説明し、保険診療停止の解除を求めましたが、一定期間のペナルティーはやむを得ないだろうとの返答でありました。

そこで患者団体が急きょ、万波医師を支援する「移植への理解を求める会」を結成し、修復腎移植の妥当性と早期再開を訴える全国的な活動に乗り出し、さあに国会議員による「修復腎移植を考える超党派の会」をはじめ、愛媛、香川、宮城の各県議会が厚労省に修復腎移植の推進を求める意見書を提出するなど支援の輪が広がりました。

厚労省はこれらの事情を踏まえ、事実上、万波医師や関係病院の処分を断念し、臨床研究を促す通達を全国の都道府県に出すなど態度を一変させました。これを受けて徳洲会グループは臨床研究として修復腎移植を再開し、患者さんの救済にも一役買ってきました。

一方、この修復腎移植は、海外の学会から「ドナー不足を解消するすばらしい医療」として称賛され、特にアメリカでは一昨年4月から、国を挙げて修復腎移植の推進を始めました。

こうした中、徳洲会グループは、一昨年の6月、修復腎移植の早期再開に向けて厚労省に先進医療指定の申請をし、昨年10月、3度目の審議で条件付きながらやっと承認されました。禁止から11年目にして、再開への道筋が見えてきたのであります。

しかしながら、国内の移植を取り巻く環境は厳しく、平成22年の改正臓器移植法施行で、臓器提供条件が大幅に緩和された後も、深刻なドナー不足が続いています。献腎はむしろ減少傾向で、透析患者は全国に33万人、毎年、5千人ずつ増えており、県内においても4千人いるといわれ、年々増えています。透析患者は週3回の通院、1回4時間の治療を受ける必要があり、患者の生活への負担感は多大であります。

完治は腎移植しかありませんが、移植希望登録者は約1万2千人に上り、平均16年待ちとされ、大半は親族からの生体移植に頼っているのが実情であります。

腎移植数を増やし、一人でも多くの透析患者を救うためには、臓器提供者を増やすことが不可欠であり、多くの国民に腎移植に対する理解を深め、移植を待つ多くの患者がいることを知ってもらうことが重要です。

そこで、献腎の呼びかけはもちろん、多くのドナーが期待できる修復腎移植の再開と、理解を広める活動が望まれています。

そこでお伺いいたします。県では多くの患者が待ち望む腎移植をはじめ

とする移植医療の推進について、どのように取り組んでいるのかお聞かせください。

「先進医療の進展注視し環境づくり進める」

 山口保健環境部長の答弁(全文)>

平成22年の改正臓器移植法施行により、提供者の年齢要件が拡大されますととともに、ドナーの家族の承諾で臓器提供が可能となるなど、移植医療を取りまく環境整備は進んでまいりましたが、平成9年の法制定後、脳死判定に基づく提供者数は県内で4件、全国でも510件程度にとどまっておりまして、臓器移植が広く普及するには至っていないのが現状であります。

県では移植医療の普及を図るため、関係団体等と連携し、意思表示カードを広める街頭キャンペーンや医療機関への啓発活動などを通じて、県民の理解促進に取り組んでおりますほか、ドナー発生時の円滑な移植医療体制を確保するため、県臓器移植支援センターと移植関連病院との連携協力体制を整え、移植を待ち望む患者の支援に努めているところでございます。

移植医療は提供者の善意の臓器提供があってはじめて成り立つ医療でございまして、その推進に当たっては、県民の理解と協力が不可欠でありますが、修復腎移植は臓器提供者の拡大に寄与する可能性を持つものと考えておりまして、県といたしましては、今後の先進医療の進展を注視しながら、引き続き関係団体と緊密に連携し、一人でも多くの患者が臓器移植を受けられる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。


NHKが修復腎移植の特番

「悪魔の医師か赤ひげか」3月28日夜、放送


http://www4.nhk.or.jp/P4253/

万波先生らが取り組んでこられた修復腎移植にスポットを当てた特別番組(25分)が、3月28日午後10時50分から、NHK総合テレビの「ノーナレ」(ナレーションなしの意)で、放映されます。松山放送局の制作で、タイトルは「悪魔の医師か赤ひげか」。

2006年、修復腎移植が臓器売買事件の調査過程で明るみになって以来、学会やマスコミのバッシングを浴びてきましたが、患者会などがその正当性を訴え続け、11年後、やっと先進医療として認められることに。その過程をナレーションなしで、関係者の証言によって検証するというドキュメンタリー番組です。ぜひ皆さんに、ご覧いただきたいと思います。


報第27

(通算43)2018年

3月26日(月)発行

発行者 NPO法人移植への理解を求める会  理事長 向田 陽二

798-4101愛南町御荘菊川2290    電話085-74-0512

編集者                  副理事長 野村 正良

       〒791-8006松山市安城寺町1746-8    電話089-978-5434

発行所                  事務局長 河野 和博

       〒790-0925松山市鷹子町9282     電話089-970-3943


by shufukujin-kaihou | 2018-03-26 14:46 | NPO会報第27号(43号)
<< NPO会報第28号(44号) NPO会報第26号(42号) >>