NPO法人移植への理解を求める会 会報第8号
第3回総会と記念上映会開く 6月・宇和島 TVドラマ制作者のトークも NPO法人移植への理解を求める会の第3回総会と記念ドラマ上映会が6月19 日(日)、宇和島市弁天町の「きさいや広場」研修室で開かれました。 午前11時からの総会に続いて、午後1時からドラマ上映会となり、会員ら約80人が修復腎移植をテーマにしたテレビドラマを興味深く観賞していました。 上映されたドラマは、1月17日夜、TBS系テレビで放映された月曜ゴールデンドラマ「内部調査官水平直の報告書」(木村佳乃主演)です。修復腎移植を患者のために推進するべきだとのメッセージが込められています。 ドラマ上映の後、作家の真野勝成さんと、プロデューサー・沼田通嗣さんのお二人に制作のいきさつや裏話などをお聞きしました。この中で、お二人は腎移植を待ち望む多くの患者さんのために、修復腎移植推進を支援することを明快に述べられました。 トーク&トーク 修復腎移植は合理的な治療法 真野さん 沼田さん 正義に支えられて壁は破れる 司会 修復腎移植について、どのように思われていますか。 沼田 もし私の家族に、腎臓移植をしなければならないという者がいたならば、 修復腎移植をしたいと思います。 真野 修復腎移植は、どう見ても合理的な治療法だと思います。主観的にみても、客 観的にみても、、修復腎移植が認められたらいいなと思います。 司会 ドラマづくりのきっかけは、何だったのですか。 沼田 一般に内部告発というものがありますが、やがて消えていったりします。そし て切実な問題として医療に関わる問題を考えました。すると、万波という医師が 臓器売買容疑で逮捕された患者の手術をしていたことから、大きな話題になった ことを思い出しました。あの問題はどうなったのだろうと思いました。 調べてみると、修復腎移植というものがあるらしい、そして日本の移植医療が 非常に遅れている、という実態も分かりました。官僚の怠慢もあるだろうと思い ました。そして、このことを、以前からドラマを通して言いたいと思っていました。 腎臓疾患と腎移植の問題については、日本には多くの透析患者と移植希望者が いますが、今までドラマでは取り上げられなかったのではないだろうか。切実な問題なら、ドラマに取り上げるべきだろうと思いました。 司会 ドラマを放映した後、何か反響はあったでしょうか。 沼田 今まであまりありませんが、DVDを貸してほしいという依頼がありました。 真野 俳優の石坂浩二さん(修復腎移植を進める医師役)は非常に博学な方ですが、 修復腎移植については知らなかったようです。今回、知ってもらったという意義 はあると思います。 司会 最後に、修復時移植の推進を目指している私たちの会へのメッセージをお願い します。 沼田 修復腎移植を推進していくには、まだ壁があると思いますが、正義に支えられ て破れる壁だと思います。どうぞ、頑張ってください。 真野 まず修復腎移植のことを、多くの人に知ってもらうことが大切だと思います。 知ってもらえば、意義を分かってもらえます。頑張っていただきたいと思います。 (記録: 井手 広幸理事) 理事長あいさつ 本日は、皆さん、ご多忙の中、NPO法人移植への理解を求める会の第3回総会・記念上映会にお集まりいただき、まことにありがとうございます。また本日の記念上映会のために、ドラマの制作スタッフで、作家の真野勝成さんとプロデューサーの沼田通嗣さんに、ご多忙のところを、遠路東京からお越しいただきました。心から感謝を申し上げます。 さて、移植への理解を求める会が、NPO法人として再スタートして、3年目を迎えました。私たちは、修復腎移植の早期再開を願ってさまざまな活動を続けていますが、ご承知の通り、徳洲会では、宇和島徳州会病院で、万波誠先生らの手によって修復腎移植の臨床研究を着々と進めています。現在までに、第三者間の手術が8例実施され、今年8月にも、先進医療の申請が行われる見通しとなっています。この申請によって、一部保険適用の期待も高まっています。 また修復腎移植の推進を後押しする動きとして、昨年は宮城県議会に続いて、おひざ元の愛媛県議会でも、推進の意見書が可決されました。一方、私たちの会が支援している修復腎移植訴訟も粛々と進んでおり、被告である日本移植学会幹部の虚偽発言などが次々と証明されつつあります。 こうした動きもあって、修復腎移植への理解は大きく広がっています。しかしながら、、修復腎移植が一般医療として再開されるまでには、まだまだ曲折が予想されます。私たちは、その再開の日が来るまで、粘り強く活動を進めていくつもりですので、どうか今後とも、ご協力をよろしくお願いいたします。 本日の記念上映会は、私たちの活動への大きなエールになるものと思っています。ぜひ、お楽しみいただき、新たな活動への力としていただければ幸いです。充実した会となることを願いまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。 NPO移植への理解を求める会理事長 向 田 陽 二 お知らせ 松山地裁で第10回口頭弁論 9月13日午後1時半開廷 5月31日(火)の修復腎移植訴訟第9回口頭弁論に続き、第10回口頭弁論が、9月13日(火)午後1時30分から、松山地裁で開かれます。 傍聴される方は、午後1時15分までに、同地裁に隣接する坂の上の雲ミュージアム前に、お集まりください。 話 題 生体腎移植は修復腎でスタートした! 「ガラパゴス島からの脱出-日本の慢性腎不全患者はしあわせか」 近藤先生(市立宇和島病院名誉院長)の原稿から 顧問の近藤俊文先生(市立宇和島病院名誉院長)が来年、出版予定の「ガラパゴス島からの脱出-日本の慢性腎不全患者はしあわせか」の中の第8章「ふたつの歴史-脳死と移植の-」に、「生体腎移植は廃棄腎や病気腎(修復腎)の廃物利用でスタートした」という項目があります。1950年代の話です。大変興味深い内容なので、ご紹介します。 ◇ ◇ ◇ 「生体腎移植は廃棄腎や病気腎の廃物利用でスタートした」 フランスでは人の臓器移植に抵抗がつよく、死体腎など容易に手にいらなかった 。デュボスとかセルヴェル、キュスらが利用できたのは、ギロチン刑死者の腎臓くらいであった 。生体腎については、かれらは廃棄されたり、病気で摘出されたりした腎臓を廃物利用するほかなかったのだ。 利用できた生体腎には二種類あった。ひとつは、ガンや結石、結核などで尿管が閉塞されたために腎の水腫や炎症をおこしたりした腎臓とか、動脈奇形や動脈狭窄のために、やむなくとりだされた腎臓であり、いまでいう病腎である。もうひとつは、水頭症患者の脳圧をさげる目的で、脳室やくも膜下腔から髄液をビニール管で膀胱にながす手術をおこなうときにとりだされた腎臓、つまり廃棄腎である。この髄液腔尿管シャントはとうじの脳外科の標準手術だったらしい *。 デュボス、セルヴェルらは、ギロチン腎のほかに、この二種類の生体腎をもちい 、キュスはギロチン腎一例、病腎四例(尿管結核、尿管結石、腎動脈狭窄、腎動脈奇形)を利用している *。 いっぽうアメリカの生体腎移植第一例でも、病腎が利用された。おなじ一九五一年に、ヒュームグループのひとりマサチューセッツ・スプリングフィールドの外科医ジェームス・スコラは、下部尿管ガンで摘出した腎臓を慢性腎不全患者に移植した 。ようするに、かれらは、まずだれでもおもいつくように、すてられる腎臓を実験的に利用したのだった。 さきにものべたように、一九五六年におこなわれた、わが国さいしょの腎移植では、いわゆる病腎である特発性腎出血患者の腎臓を、これも昇汞を呷った急性腎不全の青年に移植したのと軌をいつにしているのである 。 米国腎移植のメッカ、ピーター・ベント・ブリガム病院では、ヒュームが一九五一年から五三年のあいだに九例の腎移植をおこなった。とうじは、心臓外科の揺籃期で、心臓弁膜の初期的な手術がさかんにこころみられていた。心臓外科からの死体腎と、さきにのべた水頭症児を手術する脳外科からの廃棄生体腎を、おもにヒュームは利用していた 。 カナダのトロントでは、ゴードン・マレーが四例の腎移植を報告し、そのひとりは数年間生存したが、じぶんの腎臓の機能が回復したのではないか、といまではうたがわれている 。 免疫抑制の方法をしらなかったかれらのくわだては、すべて無惨な結果におわった。 ヒュームたちはコルフの人工腎臓でレシピエントの体調をととのえたあとに、移植をおこなったので、とうじとしては良好な成績をおさめていたが、それでも「現時点では、腎移植は人間にたいする治療としての妥当性を欠く」と悲痛な結論をくださなければならなかった 。海のかなたのキュスもまた「仏米の経験から移植は外科医療とはならない」と悲観論をのべた 。拒絶反応の壁をやぶることができなかったからである。 ところが一九五四年に、ブリガム病院でヒュームのあとをついだジョセフ・E・マレーが、一卵性双生児のあいだで生体腎移植をおこなって、かんぺきな成功をおさめた。 七0年代のなかばまでに世界中で三五例の一卵性双生児腎移植がおこなわれた。止まっていた身長がのび、完全に健康をとりもどしただけでなく、妊娠して子供さえもうけることができるのだ! こうして移植への再挑戦がはじまるのである 。拒絶反応の壁をのりこえさえすれば未来はあかるい。しだいに悲観論は声をしずめていったが、開拓者たちはなお、いばらの道をきりひらかなければならなかった。 六十年代にいると、リンパ球のタイピング(HLA)による移植適性の検査が可能になった。くわえて、免疫をおさえるために、放射線を照射したり、メルファランとかアザチオプリンとプレドニゾロンを併用することで、拒絶反応の抑制にあるていど成功するようになって、じょじょに移植成績は好転していった。腎臓から肝臓、肺、膵臓、心臓と対象臓器がひろがっていく(だが、固形臓器の移植が、慢性臓器不全の治療法としての地位を確立するには、八十年代からのサイクロスポリンの登場をまたなければならなかった)。 そうなると、いかにしていきのよい臓器を手にいれるかがせつじつな問題となった。 これまでの移植も、六二年のジョセフ・マレーの腎移植も、六三年のトマス・スターズルの肝移植も、同年にジェイムズ・ハーディがおこなった肺移植も、六六年の膵臓移植も、例外的な生体腎移植と兄弟間移植をのぞいて、臓器はすべて死体からの摘出か、脳死のばあいでは、いったん患者を手術室にいれてレスピレーターをきったあと、心臓がとまるまで臓器を摘出しなかったのだ 。六七年のクリスチャン・バーナード心移植も例外ではなかった(第四章参照)。心停止あとの臓器は、停止まえの臓器におとるのは明瞭だった。 ところが、六三年のギイ・アレクサンドルはちがっていた。 さきにもふれたように、かれは心臓がまだうごいている脳死患者の腎臓をとりだしたのだ。その行為はかれの医学的信念にもとづいていたが、同僚のなかには、異議をとなえる医師もいた。 アレクサンドルの要請を承認したルーヴァンのカトリック大学、サン・ピエール病院の外科主任だったジャン・モレル教授は、そのときをふりかえって、「医師としての一生で、もっとも、重い決断をしました」とのべている 。ふたつある腎臓のひとつしか摘出されていないことをみれば、モレルが許可したのは、ひとつだけだったようである。もちろん、殺人の告発をのがれるために。 それが非公開だったので、あまりしられていなのだが、六六年三月にロンドンで脳死概念の歴史にとって重要な国際会議、チバ財団シンポジュウム「医学の進歩と倫理」が開催された。 移植専門家、法律家などが参集して、移植医療の倫理的、法的問題について意見を交換するのが目的であった 。 出 版 修復腎移植は許される医療 「本物の医師になれる人、なれない人」 ―――小林 公夫(明治大学法科大学院教育補助講師)著 昨年、NPO法人移植への理解を求める会の第2回総会で記念講演をしていただいた、明治大学法科大学院教育補助講師の小林公夫先生(医事刑法・医事法ほか)が、本物の医師に必要な「能力と資質」とは何か-をテーマにした「本物の医師になれる人、なれない人」を、このほどPHP研究所から出版されました。 同書は、過去のさまざまな医療事件や事故を例に挙げ、医師が医療や患者に向き合う姿勢は、どうあるべきかを探っています。内容は、序章 医師という職業、第1章 患者の望みに正しく答える、第2章 正当な注意力、判断力、第3章 正当な開拓精神、第4章 さらに求められる七つの能力、資質、第5章 医師に訊く「本物の医師の条件」-で構成。医師のあり方について、「患者さんの幸福を追求しているかどうか」が決め手とするなど、示唆に富んだ内容となっています。 このうち、第3章「正当な開拓精神」では、「病腎移植(修復腎移植)はなぜ許されるのか」の項目を立て、宇和島徳州会病院の万波誠先生らが手がけてこられた修復腎移植を「患者たちが待ちわびていた一筋の光明」であり、「治療行為の正当化に関する理論から、許される医療」として紹介しています。 その理由として、1)修復腎移植には医療の要請として、それが必要とされる切実な事情がある。2)移植が間に合わず病床で死を待つ患者を救うために、新たな移植用腎臓を確保することが喫緊の課題である 3)修復腎移植の手術は従来の外科手術の応用であり、手続きについても、病院内の倫理委員会で厳格な判断が下されているので、正当化の枠組みを逸脱していない-などを挙げています。ぜひご一読をお勧めします。 (PHP新書、定価720円) ………………………………………………………………………………………………… 会報第8号 (通算24号)2011年 8月25日(木)発行発行者 NPO法人移植への理解を求める会 理事長 向田 陽二 〒798-4101愛南町御荘菊川2290 電話0895-74-0512 編集者 副理事長 野村 正良 〒791-8006松山市安城寺町1746-8 電話089-978-5434 発行所 事務局・理事 河野 和博 〒790-0925松山市鷹子町928-2 電話089-970-3943
by shufukujin-kaihou
| 2011-09-11 12:49
| NPO会報8号(24号)
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カテゴリ
全体 3.5.20 総会中止のお知らせ 3.3.22 修復腎移植再開のお知らせ 2.4.21 総会中止のお知らせ NPO会報33号(49号) NPO会報32号(48号) NPO会報31号(47号) 31.2.8緊急報告 官報告示 先進医療 NPO会報30号(46号) 30.7.7 ETV特集 NPO会報29号(45号) 30.7.5緊急報告 先進医療承認 30.7.2緊急報告 NHKETV特集 NPO会報28号(44号) NPO会報27号(43号) NPO会報26号(42号) 29.10.20緊急報告 NPO会報25号(41号) NPO会報24号(40号) NPO会報23号(39号) NPO会報22号(38号) NPO会報21号(37号) NPO会報20号(36号) NPO会報19号(35号) 27.10.20緊急報告 NPO会報18号(34号) 27.7.7 TVドラマのお知らせ NPO会報17号(33号) 27.3.6 控訴審のお知らせ 27.1.10 報告 NPO会報16号(32号) 26.11.10 緊急報告 控訴理由 26.10.28 訴訟判決 緊急報告 NPO会報15号(31号) NPO会報14号(30号) NPO会報13号(29号) NPO会報12号(28号) NPO会報11号(27号) NPO会報10号(26号) NPO会報9号(25号) NPO会報8号(24号) NPO会報7号(23号) NPO会報6号(22号) NPO会報5号(21号) 22.10.10緊急報告 NPO会報4号(20号) 22.5.17緊急報告(訃報) NPO会報3号(19号) 22.4.27緊急報告 22.1.30会報号外 22.1.23緊急報告 NPO会報2号(18号) 22.1.9緊急報告 NPO会報1号(17号) 会報第16号 会報第15号 21.5.5緊急報告長谷川さん急逝 会報第14号 21.4.9第1回口頭弁論のお知らせ 21.3.19緊急報告 21.2.10緊急報告 会報第13号 会報第12号 20.12.10緊急報告 以前の記事
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