NPO法人会報第5号(第21号)


NPO法人移植への理解を求める会 会報第5号        

臨床研究 5例目終える
修復腎移植第三者間 8月・宇和島徳洲会病院

徳洲会が進めている修復腎移植の臨床研究で、第三者間の5例目(親族間を含めると6例目)の手術が8月24日、宇和島徳洲会病院で実施されました。同会が翌日、手術の概要を発表しました。
同会によると、ドナーは鹿児島県の60代男性、レシピエントは慢性腎不全の愛媛県の50代女性。鹿児島徳洲会病院(鹿児島市)で、24日午後、ドナーの腎臓を摘出。空路で愛媛に運び、同日夜、宇和島徳洲会病院で万波誠先生らが移植しました。経過は安定しているということです。
同会は、第三者間5例目の移植後、1年間の経過観察を経て国に先進医療の申請をし、保険適用を目指していくと発表していましたが、「関連学会に半年以内に発表し、評価が得られれば、1年以内の申請もあり得る」としています。
また、今後も新たな第三者間の臨床研究を続けることにしています。
臨床研究が一段落したことにより、修復腎移植の早期再開が期待されることから、私たちの会では、修復腎移植の啓発活動に一層力を入れていきたいと思います。ご協力をよろしくお願いいたします。
6例目チェック「OK」 判定確認委
修復腎移植の臨床研究で、第三者間5例目の手術が実施されるのに先立ち、NPO法人移植への理解を求める会は、徳洲会の依頼を受けて、8月20日、松山市内のホテルでレシピエントの選定確認委員会を開きました。座長の吉田亮三理事(愛媛大学法文学部名誉教授)と事務局の河野和博理事、外部委員の近藤俊文・市立宇和島病院名誉院長(内科医)、大岡啓二医師(移植医・泌尿器科医)、野垣康之弁護士の5人の委員全員が出席。徳洲会から送付されたレシピエント候補者の選定順位についてチェックしました。この結果、問題がないことを確認し、同会に報告しました。


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第7回口頭弁論は11月2日
松山地裁 実質的審理開始へ

8月3日、松山地裁で開かれた修復腎移植訴訟の第6回口頭弁論に続き、第7回口頭弁論が、11月2日(火)午後1時30分から、同地裁で開かれます。
 第6回口頭弁論では、争点となっている争訟性の有無について、裁判長が「最終的には判決で判断するが、今後は実体的な審理を進めていく」としました。したがって、今回から、やっと実質的な審理が始まることになります。
 傍聴される会員の皆さんは、午後1時10分に、同地裁に隣接する坂の上の雲ミュージアム前に、お集まりください。

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修復腎移植推進求める意見書愛媛県議会、全会一致で可決
愛媛県議会は10月8日、9月議会最終日の本会議で、修復腎移植の推進を求める意見書を全会一致で可決しました。都道府県議会で修復腎推進の意見書を可決していただいたのは、昨年3月の香川県、今年3月の宮城県に続いて3県目です。
意見書は、NPO法人移植への理解を求める会が提出した陳情書を受けて、議会で提案、可決されました。内容は、移植腎の大幅な不足のなかで、修復腎移植が、重度の腎臓病に苦しむ患者や透析治療の困難な患者にとって、健康回復への希望になるとしたうえで、国に修復腎移植推進のための環境整備と保険適用を求めています。
移植を待ち望む多くの患者の救済を訴え、修復腎移植の推進活動を続けている私たちにとって、おひざ元の愛媛県議会が全会一致で推進の決議をしてくださったことは、香川県議会や宮城県議会の議決とともに、大きな後押しとなります。また、かたくなに修復腎移植を否定する移植学会の幹部を相手どって、患者有志が起こしている訴訟に対しても、大きなエールとなります。
愛媛県議会の議員の方々のご英断に、心から感謝を申し上げるとともに、修復腎移植の推進について、今後ともご支援をお願いしたいと思います。

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議発第9号議案
 修復腎移植の推進を求める意見書を次のとおり提出する。
平成22年10月8日
                   提 出 者
                   愛媛県議会議員 寺井 修
                    賛 成 者
                    愛媛県議会議員 河野忠廣
                    同       明比明治
                    同       石川 稔
                    同       泉 圭一
                    同       戒能潤之介
                    同       笹岡博之
同        篠原 実
同       竹田祥一
同        横田弘之
同       横山博幸


愛媛県議会議長 西 原 進 平 様

修復腎移植の推進を求める意見書
わが国では、慢性腎不全のため透析生活を余儀なくされている患者が、平成21年度末で約29万人となっており、毎年1万人程度増え続けている中で、健康的な生活を取り戻したいと願い、根本治療法である腎移植を望んでいる多くの人たちがいる現状にある。
しかし、献腎(提供された死体腎、脳死腎)は、平成21年で190程度と極めて少なく、献腎移植を受けるには、成人で平均15年程度も待たなければならない状況で、ほとんどの人が移植を受けられないまま、精神的にも肉体的にも大きな負担を抱えて生活している。
こうした事情を背景に、移植待機患者を一人でも多く救おうと、治療のために摘出した腎臓を修復して移植する、いわゆる修復腎移植(病気腎移植)が始められ、多くの患者に喜ばれてきたところである。
ところが、日本の移植関連学会は「現時点では医学的妥当性がない」との見解を発表し、厚生労働省においては、臓器移植法の運営指針を一部改正し、修復腎移植については臨床研究の道は残すものの、原則禁止とした。
その後、平成21年1月、厚生労働省は、「いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していない」との通達を都道府県に出し、臨床研究としては再開されたものの、保険適用の見通しは立っておらず、修復腎移植は依然として禁止状態となっている。
移植腎の大幅な不足という状況の中で、修復腎移植の道を開くことは、重度の腎臓病に苦しみ、生命の危機に脅かされている、透析治療が困難な患者にとって、健康回復への希望となるものである。
よって、国におかれては、次の事項について特段の配慮をされるよう強く要望する。

1 移植を待ち望む患者が一日も早く移植を受けることができるよう、修復腎移植が可能となる環境整備を進めること。
2 臨床研究の成果を踏まえ、修復腎移植の保険適用を認めること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成22年10月8日
                  愛 媛 県 議 会                     
提出先
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 総 務 大 臣
厚生労働大臣


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                        平成22年8月25日
愛媛県議会議長
 西原 進平様

 陳 情 書
1.件名 
 修復腎移植の推進について
2.要旨
 わが国では、慢性腎不全のため透析生活を余儀なくされている患者が、30万人にも上っているうえ、毎年1万人ずつ増え続けています。その多くの人たちが、健康的な生活を取り戻したいと願い、根治療法である腎移植を望んでいます。
しかし、献腎(提供される死体腎、脳死腎)は年に160程度と極めて少なく、腎移植を受けるには、平均15年も待たなければならないと言われています。そのため、ほとんどの人が移植を受けられないまま、亡くなっています。そこで、移植者の多くは、やむを得ず健康な親族の腎臓提供により、移植(生体腎移植)を受けているというのが現状です。
こうした事情を背景に、ドナー(臓器提供者)に恵まれない移植待機患者を一人でも多く救おうと、宇和島徳州会病院の万波誠医師らが、治療のために摘出した腎臓を修復して移植する、いわゆる修復腎移植(病気腎移植)を進め、多くの患者に喜ばれてきました。
移植先進国アメリカをはじめ海外の移植関係者は、万波医師らが進めてきた修復腎移植を「ドナー不足を解消する画期的な医療」と絶賛しているほか、オーストラリアの病院などでは、既に修復腎移植を日常的に実施し、大きな成果を上げています。
しかも、わが国では治療のため摘出し捨てられている腎臓が年間1万個余りあり、そのうち2000個前後が移植に利用できると推定されています。これらを生かせば、移植のチャンスは大きく広がるものと期待されています。
ところが、日本の移植関係学会は「現時点では医学的妥当性がない」との見解を発表し、これを受けて厚生労働省も、臓器移植法の運営指針を一部改正し、修復腎移植については臨床研究の道は残すものの、原則禁止としました。
しかしながら、厚労省は昨年1月、一転して患者救済の立場から、修復腎移植の臨床研究を促す通達を全国の都道府県などに出しました。これを受けて徳洲会が同年12月から臨床研究に着手し、保険適用による早期再開を目指しています。ただ、保険適用のめどは、まったく立っておらす、実現の可能性についても予断を許さないところです。
遅れている日本の移植医療を大きく前進させる可能性のある修復腎移植が、原則禁止とされたまま、いまだに再開のめどが立っていないことは、私たち患者には、どう考えても納得できません。
私たちは、移植を望む多くの透析患者が、一日も早く腎移植を受け、健康を回復できるよう、修復腎移植の早期再開を切に願っています。
よって、国及び国会に対し、下記の事項について意見書を提出していただくよう陳情します。



1、臨床研究の成果を踏まえ、修復腎移植の保険適用を認めること
2、移植を待ち望む患者が一日も早く移植を受けることができるよう、環境整備を
   進めること

NPO移植への理解を求める会
                       代表 向田 陽二

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6月30日に松山市で開かれた平成22年度えひめ移植者の会の総会・記念講演会で、近藤先生が「どうなる日本の移植医療」をテーマにご講演されました。
興味深いお話でしたので、先生に要旨をお願いしました。ご紹介します。


「どうなる日本の移植」
――市立宇和島病院名誉院長 近藤 俊文
 
           
 2009年、WHOは移植ツーリズム禁止の決議をするはずであったが、新型インフルエンザ騒ぎで、決議は延期になった。ところが、日本代表は、しつこく同決議の執行を迫った。だがEUの反対で押し切られ、決議は1年延期された。それでも日本政府は、めでたく、外圧に押されてでも、念願の臓器移植法の改訂を果たした。あれだけ、しつこく脳死に反対していたメディアも不思議なことに、大騒ぎをやらかさなかった。コンセンサスとやらは、どこにいったのだろうかと、逆に心配になる。
 かくて、めでたく移植鎖国日本は開国したが、さてこれから、日本の臓器移植はどうなるのか。
 ▼脳死提供10倍は増える?
 関係者たちは、脳死提供が10倍くらいは増えるのじゃないかと予測している。たぶん、それぐらいはいくはずである。問題は、小児、子供の心移植の需要をどの程度解決できるかである。
 もう一つ問題がある。移植患者のほとんどを占める腎移植はどうなるのか。脳死提供が10倍になるのなら、腎移植は20倍に増えることになる。年間、100例を大きく超えることが期待できよう。
 すると、どうなるか。移植を希望される方が増えるのである。ここで、過去の経緯を振り返ってみるのが、参考になるだろう。
 腎移植が軌道に乗り始めた1978年には、透析患者の44・4%が移植を希望して、登録された。が、腎移植の夢がはかなく消えた2008年には、なんと4%しか登録されていない。登録しても、移植を受けるまでに15年くらいかかり、それまでに8割弱は死んでしまうからである。
 ▼30万人に達した透析患者
 今、透析で生きている患者さんは30万人に達する。ある試算では、関連費用も入れると、1兆8,000億もの費用がかかっているという。
 それはともかく、先進国なみの法改定が、先進国なみの腎移植需要を生んだらどうなるか。つまり、1978年ころの期待をわが国の透析患者さんが持つと仮定すると、13万人の透析患者さんが待機リストに登場することとなる。まあ、話半分としても、7万人である。今、アメリカの腎移植待機リストには8万人が待機している。透析患者さんの数からだけで推計すると、人口比でアメリカ以上になりそうである。
 移植先進国の最大の課題は、脳死提供臓器の不足である。日本もこの問題に直面するはずである。その解決策は? いろいろ、各国で模索をしてきた。アメリカ、特に共和党筋では、アルトゥルーイズム(善意依存主義)は限界に達しているので、臓器マーケット論を主張しているが、抵抗も強い。しかし、見事に成功している国もある。スペイン、イラン、フィンランドなどである。
 ▼脳死提供世界一のスペイン
 スペインは世界一、脳死臓器提供率が高い。まず、移植法が「みなし同意・オプティング・アウト」であり、拒否しなければ、同意したと見なされる方式である。全国的なOPO(臓器獲得機構)が政府で運営されていて、臓器獲得の第一線に立つのは医師であり、かれらは財政的にも優遇され、優秀な医師が希望する。徹底的な教育がOPO関連の医師や看護婦に施される。臓器提供病院のICUは、常に臓器提供可能な患者さんがいないかとの調査を受ける。提供できた病院やOPOは財政的にも優遇される。7年間、この方式でやってみて、待機患者は事実上無くなったといわれる。
 イランでは、患者や同調者が共同組合のようなNPOの公的機関をつくる。レシピエントはこの機関にお金を支払い、移植を受ける。ドナーはこの機関から報酬を得る。すべては、自発意志によって行われ、強制や搾取の可能性は排除されている。レシピエントの半数は貧窮者という。最貧困のアフガン難民でもレシピエントになっているという。イスラム教の相互扶助思想が根本にあるらしい。
 ▼議論の余地ない修復腎利用
 透析天国のわが国の腎移植が、法改定で、どのような歩みを見せるのか、ひとえに日本政府、厚労省の今後の政策による。いまから、アメリカなみのOPOシステムを構築するのには、莫大な費用が必要となる。移植病院、臓器提供病院の整備・補助も必要。移植医の養成にも資本をつぎ込む必要がある。要するに、一から出直さなければなるまい。
 果たしてそこまでの覚悟があるのか。移植ツーリズムで、各国の矢面に立たされるのを避けるだけで、目的は果たしたとして、頬被りになるような気がするのは、老人特有のわが僻みであろうか。
さて、ここで登場するのが修復腎移植である。無理をして、法を改正しても脳死腎は200まで出れば、大成功である。が、修復腎をうまく利用できれば、その10倍くらいの腎臓利用が可能である。もはや、議論の余地はないと思う。



会報第5号  
(通算21号)2010年
10月22日(金)発行発行者 NPO法人移植への理解を求める会 理事長 向田 陽二
     〒798-4101愛南町御荘菊川2290 電話0895-74-0512
編集者                 副理事長 野村 正良
〒791-8006松山市安城寺町1746-8 電話089-978-5434 
発行所               事務局・理事 河野 和博
〒790-0925松山市鷹子町928-2   電話089-970-3943
郵便振替01640-9-60827 NPO法人移植への理解を求める会
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by shufukujin-kaihou | 2010-10-22 17:19 | NPO会報第5号(21号)
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