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移植への理解を求める会 会報第12号

          

修復腎移植求め提訴へ
患者原告団 国と学会幹部相手に

「治療の選択権と生存権侵害」


宇和島徳洲会病院の万波誠先生らが進めてきた修復腎移植を、虚偽発言などによって全面的に否定してきた日本移植学会の幹部と、その見解を踏襲し原則禁止とした厚生労働省を相手取り、患者原告団が損害賠償請求訴訟(民事訴訟)と国家賠償請求訴訟(行政訴訟)を年内にも起こすことになりました。
提訴の理由は「修復腎移植の禁止によって、治療の選択権と生存権を侵害された」というもので、厚労省の原則禁止方針と、その方針を誘導した学会幹部の発言の違法性を明らかにし、修復腎移植の早期実施を求めるのが狙いです。
原告団は移植への理解を求める会の呼びかけにより、患者有志らが7月6日、松山市で開かれた役員会の席で結成し、準備を進めてきました。メンバーは透析患者4人と移植者3人の計7人(愛媛4人、香川、広島、岐阜各1人)で、求める会からは向田陽二代表らが加わっています。弁護団は林秀信弁護士(求める会役員、岡山)ら6人の弁護士(愛媛3人、岡山3人)の方々に依頼しています。

治療を受ける決定権は患者にある

訴訟を支援する求める会は10月4日、松山市で記者会見を開き、その概要を明らかにしました。また修復腎推進活動の全国展開を図るため、NPO法人(特定非営利活動法人)化に向けて準備を進めていることも公表しました。
記者会見には、求める会役員らのほか、弁護団の光成卓明(岡山)、山口直樹(松山)両弁護士が出席しました。
席上、原告の一人で透析生活10年余りになる長谷川博さん(香川)は「私はもっと生きたい。修復腎移植を学会がよく検討せずに禁止したことは絶対に許せない。移植を受ける権利をなんとかしてほしい」と訴えました。
また光成弁護士は「学会幹部の発言には明らかに間違い、誇張があり、それらの発言によって、患者の修復腎移植を受ける権利が侵害された。また修復腎移植を受ける権利は本来患者に「決定権」がある。国がガイドラインで禁止したのはその権利の侵害に当たる」と指摘。「厚労省が修復腎移植を禁止したため、患者はいつまでたっても治療を受けられない。方針の変更を期待していたが、実現されそうにない。そこで司法の力を借りて、厚労省の誤った違法な方針を変更しなければ、患者は救済されない」と訴訟の意義を説明しました。

<記者会見で発表した訴訟メモ>
1)訴訟は2本立て
 ①国家賠償請求訴訟(行政訴訟) 厚労省を相手取り、松山地裁に訴え
 ②損害賠償請求訴訟(民事訴訟) 日本移植学会幹部を相手取り、松山地裁に訴え
被告=日本移植学会の幹部5~10人
2)提訴の理由
 ①厚労省=臓器移植法の運営指針改正により修復腎移植を禁止
②虚偽または無知による発言で修復腎移植の妥当性を否定。厚労省の判断を導いた
→患者の生存権と治療の選択権を侵害  
3)患者原告は9人(→7人に変更)
 ①透析患者6人(→4人) ②移植者3人
4)弁護団は8人(→6人に変更)
 愛媛3人 岡山2人 東京2人(→愛媛3人 岡山3人)
5)損害賠償請求額 
 透析患者1人1000万円、移植者1人500万円
6)提訴時期 
 早ければ10月下旬(→年内に変更)

                                      
NPO法人化へ設立総会

12月7日・宇和島 記念講演会も

講師松屋福蔵先生(長崎医療センター医長)


移植への理解を求める会は、修復腎移植推進活動の全国展開を図るため、NPO法人化を目指すことになり、下記の通り、12月7日(日)、宇和島市で第3回総会(解散総会)とNPO法人設立総会・記念講演会を開きます。後日、愛媛県にNPO法人の認可申請をし、来春にもNPO法人として、活動をスタートする見通しです。
記念講演会の講師は、長崎医療センター泌尿器科医長の松屋福蔵先生にお願いしています。テーマは「修復腎移植 その可能性と問題点」です。
松屋先生は、長崎県内の腎移植希望登録者74人と透析患者87人を対象に、修復腎移植を希望するかどうかをアンケート調査し、移植希望登録者の43%、透析患者の47%が希望する-という結果を、4月下旬に日本泌尿器科学会総会で発表されました。そこで「生体腎移植の当てもないまま、腎移植を待たざるを得ない患者さんやご家族の『移植できる腎臓さえあれば』との思いを切実なものとして受け止め、ドナーの適応拡大について議論すべき時期にきている」と主張されています。
ぜひ、多くの皆さんの参加をお待ちしています。



▽第3回総会とNPO法人設立総会・記念講演会
と  き 12月7日(日)午後1時~3時30分
と こ ろ えひめ南農協JA会館    
      宇和島市栄港3丁目303
      電話 0895-22-8111(代表)
(JR宇和島駅から徒歩7分)
※駐車場は有料となります。
内  容 記念講演会 
       講 師 松屋 福蔵先生(長崎医療センター泌尿器医長)
       テーマ 「修復腎移植 その可能性と問題点」
解散総会 
2007年12月~2008年11月の活動報告・会計報告など審議・
・意見交換・解散決議
      NPO法人設立総会 午後3時~
       設立趣旨・定款・活動方針・活動計画・予算案など審議・
決議文採択
▽記者会見 3時30分~

                                      
NPO法人設立の趣旨
ドナーに恵まれない移植待機患者を一人でも多く救おうと、宇和島徳洲会病院の万波先生らが進めてきた修復腎移植(レストア腎移植)は、その論文が今年1月、全米移植外科学会のトップテンに入賞し表彰されるなど、海外の関係者から賞賛されています。また、オーストラリアの病院では、修復腎移植が日常的医療として実施されているほか、米国の病院でもその取り組みが始まっています。
治療のため患者から摘出した腎臓を修復して利用する修復腎移植は、献腎(死体腎、脳死腎)と比べ、生着率に遜色がありません。親族の健康な体を傷つける生体腎移植と違って、家族間の葛藤もないうえ、万一、手術が失敗しても、患者と医師の精神的負担が軽いなど、多くのメリットがあります。
しかしながら国内では、日本移植学会など日本の移植関連4学会が昨年3月、「現時点では医学的妥当性がない」との声明を早々と発表し、修復腎移植を全面的に否定しています。これを受けて厚生労働省も、同年7月、臓器移植法の運営指針を一部改正し、臨床研究の道は残すものの、修復腎移植を一般医療として実施することを禁止しました。さらに「特殊な医療で保険適用の対象外である」として、保険適用を認めないことも明らかにしています。その後、修復腎移植の安全性、有効性を示す時事実が判明ち、判明しても、両者は一切、姿勢を変えようとしません。
国内には慢性腎不全のため、透析生活を余儀なくされている患者が27万人もおり、その多くがQOL(生活の質)や延命の優位性から、根治療法である腎移植を望んでいます。しかし、献腎は年間150例前後と極めて少ないことから、平均16年待たなくてはならず、その間に大半の患者が亡くなっています。そこで、やむを得ず、多くの患者が親族の腎臓提供により移植を受けているのが現状です。
こうしたなかで、修復腎移植が実施(再開)されれば、国内で年間約2,000個の腎臓が移植に利用できると推定されており、透析患者にとって移植のチャンスが一挙に10倍以上に増え、大きな福音となることは確実です。
私たち「移植への理解を求める会」(事務局・松山市、会員1、400人)は、平成18年11月に発足して以来、修復腎移植の推進と万波先生らの医療活動の保証などを訴え、講演会やシンポジウム、署名運動を精力的に進めてきました。しかし、まだまだ全国的な広がりを得るまでには至っていません。
そこで今後は、修復腎移植の早期実現に向けて、より多くの人たちの理解と協力を求め、活動の全国展開を図るため、NPO法人を設立します。

                                      

             
会報第12号  
2008年
11月26日(火) 発 行発行者 移植への理解を求める会 代 表 向田 陽二
     〒798-4101愛南町御荘菊川2290 電話0895-74-0512
編集者             幹 事 野村 正良
〒791-8006松山市安城寺町1746-8 電話089-978-5434 
発行所             事務局 河野 和博
〒790-0925松山市鷹子町928-2   電話089-970-3943
by shufukujin-kaihou | 2008-12-05 22:41 | 会報第12号
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